モモセヒロコ

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STONE-DEAF

About the work

 

             
102歳になる曾祖母は耳が遠かった。
黙々と毎日一人で人形を作ったり、お釈迦様の絵を描いたりしていた。
ある日、高齢の祖母が、痴呆の曾祖母の面倒を看られないので施設に入った。

曾祖母は6年間ずっと眠っていた。

 

 

 

何も解らない。

昔一緒に暮らしていた、曾孫のうちの一人が結婚したこと、

自分の娘が一年前に癌で亡くなったこと、

大きなカメラで自分をのぞいている私が誰なのか、解らない。

写真を撮っている私をじっとみつめて、涙を流して、また眠ってしまった。

 

 

 

2005年のとしの終わり、彼女は亡くなり、2006年の年の初め、小さな小さなお葬式をした。



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