モモセヒロコ

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やがて、着陸

About the work

             
私と一緒の方向に歩いて行く人がいる。
私と同じゴンドラや船に乗っている人がいる。
皆、同じものを見る為に、ある場所に向かっている。

 

 

人々はそれぞれ、自然の中で同じ時を過ごしている。

私はその場所を、空間や時間を切り取る。

 

 

最後のページの写真は宮古島から1年に一度行くことが出来る場所、八重千瀬(やびじ)である。
ある日新聞で偶然その記事を見つけ、直感的に行かなくては、と思い2007年と2010年に行って撮影している。
久しぶりに今年その場所に立った時、何かが違うと思った。
以前は水が少なく難なく歩けた陸地が、水たまりが多く、幻の大陸は沈んできているような気がした。
同じ場所にたとえ立てても、以前と同じシーンに立ち会うことは不可能なのだと、その時思った。
地球は絶えず変化をとげている。

 

 

やがて、その場にいた人もばらばらになり、それぞれの場所に戻っていく。
空を飛ぶ鳥も、その下を歩いている人も、常に移動を続けている。

 

 

私も偶然の何かに向かって進んで行き、また別の場所へとたどりつく。
この行為は永遠に続くのだ。

 



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